【初心者向け】仮想通貨保管の安全性を守る!知っておくべきセキュリティ脅威の種類と対策
はじめに:あなたの仮想通貨、安全に保管できていますか?
仮想通貨投資を始められたばかりの皆様、こんにちは。「仮想通貨安心保管マニュアル」編集部です。
仮想通貨への投資は、大きなリターンの可能性がある一方で、「ハッキングされたらどうしよう」「うっかりなくしたらどうなるんだろう」といった、セキュリティに関する不安も大きいことと思います。特に、インターネット上で取引される仮想通貨は、目に見えない形で管理するため、どのようにすれば安全なのか分かりにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
多くの初心者の方が最初に思い浮かべるリスクは「ハッキング」かもしれませんが、実は仮想通貨の安全な保管を脅かすリスクはそれだけではありません。様々な手口が存在し、それぞれに合った対策が必要です。
この記事では、仮想通貨を安全に保管するために知っておくべき、主要なセキュリティ脅威の種類と、それぞれの具体的な対策方法について、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を通して、読者の皆様がご自身の仮想通貨を安心して管理できるよう、知識を深めていただければ幸いです。
仮想通貨の主な保管方法とリスクの視点
仮想通貨の保管方法は大きく分けて以下の二つがあります。
- 取引所に預けておく方法: 仮想通貨取引所の口座内で管理する方法です。手軽に取引できる反面、取引所自体に何かあった場合のリスクがあります。
- ご自身で管理する方法(ウォレット): 専用のソフトウェアや機器を使って、ご自身の管理下で仮想通貨を保管する方法です。秘密鍵(仮想通貨の所有権を証明する非常に重要な情報)をご自身で管理するため、より高度なセキュリティが期待できますが、管理責任もご自身にあります。
これらの保管方法それぞれに固有のリスクと、共通するリスクが存在します。ここでは、保管方法ごとの詳細な手順ではなく、「どんな危険があるのか」というセキュリティリスクの側面に焦点を当てて解説を進めます。
仮想通貨保管を脅かす主要なセキュリティ脅威と対策
ここでは、仮想通貨の安全な保管を脅かす代表的なセキュリティ脅威の種類と、それぞれの対策を解説します。これらの脅威は、保管方法に関わらず注意すべきもの、あるいは特定の保管方法で注意すべきものがあります。
1. サイバー攻撃・詐欺(全保管方法で注意)
インターネットを通じて行われる攻撃や詐欺の手口です。
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フィッシング詐欺:
- 概要: 有名な取引所やウォレット提供元を装った偽のウェブサイトやメール、SNS投稿などを用いて、ログイン情報や秘密鍵、リカバリーフレーズ(秘密鍵を復元するための単語の並び)といった機密情報をだまし取る手口です。本物そっくりに作られていることが多く、見分けるのが難しい場合があります。
- 保管との関連: 盗み取られた情報を使って、取引所口座から仮想通貨が不正に送金されたり、ウォレット内の仮想通貨が盗まれたりします。
- 対策:
- 公式サイトのURLをブックマークし、必ずブックマークからアクセスする習慣をつけましょう。メールや広告のリンクから安易にアクセスしないことが重要です。
- 取引所やウォレット提供元がメールで個人情報やパスワード、秘密鍵などを尋ねることは絶対にありません。そのような要求があれば詐欺と疑ってください。
- 二段階認証(ログイン時にパスワードだけでなく、別の方法でも本人確認を行う仕組み)を必ず設定し、SMS認証だけでなく、認証アプリ(Google Authenticatorなど)の使用を検討しましょう。
- 送金を行う際は、送金先アドレスを複数回確認しましょう。クリップボードにコピーしたアドレスがマルウェアによって書き換えられている可能性もゼロではありません。
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マルウェア・ウイルス感染:
- 概要: コンピュータやスマートフォンに不正なプログラム(マルウェアやウイルス)を感染させ、情報を盗み取ったり、機器を不正に操作したりする手口です。キーロガー(入力した情報を記録するプログラム)や、クリップボードの内容を書き換えるタイプのマルウェアなどがあります。
- 保管との関連: PCやスマホで取引所のサイトにログインしたり、ウォレットアプリを使ったりする際に、ログイン情報やパスワード、秘密鍵などが盗まれたり、送金先アドレスが勝手に書き換えられたりするリスクがあります。
- 対策:
- 信頼できるセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。定期的なスキャンも重要です。
- OSやアプリケーション(特に取引所アプリやウォレットアプリ、ブラウザ)は常に最新の状態にアップデートしましょう。セキュリティの脆弱性が修正されます。
- 不審なメールに添付されたファイルを開いたり、怪しいウェブサイトからソフトウェアをダウンロードしたりしないでください。
- 公共の場で提供されている無料Wi-Fiなど、セキュリティが不確かなネットワークでの取引やウォレット操作は避けましょう。
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SIMスワップ:
- 概要: 携帯電話会社のシステムを悪用するなどして、不正にあなたの電話番号を別のSIMカードに移行させてしまう手口です。これにより、あなたの電話番号にかかってくる電話やSMSを攻撃者が受け取れるようになります。
- 保管との関連: 多くのオンラインサービス(取引所など)の二段階認証でSMSが利用されています。SIMスワップされると、ログイン時に必要な認証コードが攻撃者に渡ってしまい、不正ログインされるリスクが高まります。
- 対策:
- 取引所の二段階認証は、SMS認証だけでなく、認証アプリ(Google Authenticatorなど)を主に使用するように設定しましょう。
- 携帯電話会社で、SIMスワップされにくいオプション設定(パスワード必須、本人確認厳格化など)があれば利用を検討しましょう。
- 個人情報をネット上に公開しすぎないように注意しましょう。攻撃者は公開情報をもとに不正な手続きを試みることがあります。
- 携帯電話の通信ができなくなったら、すぐに携帯電話会社に連絡し、不正なSIMスワップが行われていないか確認してください。
2. 取引所保管に関するリスク
取引所は利便性が高いですが、その運用体制に依存するリスクがあります。
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取引所のハッキング:
- 概要: 取引所のシステム自体が第三者からのサイバー攻撃を受け、顧客資産が不正に外部へ流出してしまうリスクです。過去に大規模なハッキング事件も発生しています。
- 保管との関連: 取引所の口座に仮想通貨を預けている場合、取引所がハッキングされると、預けていた仮想通貨を失う可能性があります。
- 対策:
- 信頼性とセキュリティ対策がしっかりしている取引所を選びましょう。金融庁に登録されている国内取引所は、一定のセキュリティ基準を満たしています。
- 取引所に多額の仮想通貨を長期間保管せず、必要な額だけを置き、それ以外は後述するウォレットに移すことを検討しましょう。
- 取引所が採用しているセキュリティ対策(コールドウォレットでの顧客資産管理など)について確認しましょう。
- 取引所が提供する補償制度について確認しましょう。(ただし、全額補償されるとは限りません)
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取引所の破綻・倒産:
- 概要: 取引所の経営が悪化し、破綻・倒産してしまうリスクです。
- 保管との関連: 取引所が破綻した場合、預けていた仮想通貨が引き出せなくなる可能性があります。一般的な銀行預金とは異なり、多くの場合、全額が保証される公的な制度はありません。
- 対策:
- 複数の取引所に資産を分散して保管することを検討しましょう。
- 必要以上の額を取引所に長期間置かず、ご自身で管理できるウォレットへの移管を検討しましょう。
- 取引所の財務状況や評判についても注意を払っておきましょう。
3. ウォレット保管に関するリスク(自己管理責任)
ウォレットは秘密鍵をご自身で管理するため、自己責任に伴うリスクがあります。
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秘密鍵・リカバリーフレーズの漏洩・紛失:
- 概要: 秘密鍵やリカバリーフレーズが他人に知られたり、ご自身が紛失してしまったりするリスクです。これらは仮想通貨の所有権そのものを証明するものであり、銀行の暗証番号や印鑑よりもはるかに重要です。
- 保管との関連: 秘密鍵やリカバリーフレーズが他人に知られると、あなたのウォレットから仮想通貨を自由に送金されてしまいます。紛失した場合は、ご自身の仮想通貨にアクセスできなくなります。
- 対策:
- リカバリーフレーズは、絶対にオンライン上に保管しないでください(クラウドストレージ、メール、スマホの写真など)。
- 紙に書き出し、複数の安全な場所に分けて保管するなど、オフラインでの厳重な管理を徹底してください。金属プレートに刻印する方法なども検討できます。
- 誰にも教えない、見せない、聞かれても答えないという鉄則を守ってください。
- 紛失しないよう、保管場所を忘れない工夫をしましょう。
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誤ったアドレスへの送金:
- 概要: 仮想通貨を送金する際に、間違った送金先アドレスを入力してしまうリスクです。
- 保管との関連: 仮想通貨の送金は一度実行すると、基本的に取り消しや返金ができません。誤ったアドレスに送金してしまうと、資産を失います。
- 対策:
- 送金を行う前に、送金先アドレスを必ず複数回確認しましょう。特に、最初と最後の数文字だけでなく、全体的に確認することが重要です。
- 可能であれば、少額でテスト送金を行い、相手が正確に受け取れることを確認してから本送金を行う方法も有効です。
- アドレスをコピー&ペーストする際は、先述のマルウェアによる書き換えリスクも考慮し、ペースト後にアドレスが書き換わっていないか必ず確認しましょう。
- 信頼できるウォレットアプリやサービスを利用しましょう。
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偽ウォレットアプリ・サイト:
- 概要: 本物そっくりに作られた偽のウォレットアプリやウェブサイトをダウンロード・利用してしまうリスクです。
- 保管との関連: 偽のアプリやサイトで秘密鍵やリカバリーフレーズを入力してしまうと、それらが攻撃者に盗み取られ、ウォレット内の仮想通貨が抜き取られてしまいます。
- 対策:
- ウォレットアプリは、必ずApp StoreやGoogle Playといった公式のアプリストアからダウンロードしましょう。
- ウェブサイトを利用する場合は、公式サイトのURLをブックマークしておき、そこからアクセスしましょう。
- ダウンロード数やレビューなどを参考に、正規のアプリであるか慎重に判断しましょう。
4. 物理的なリスク(ウォレット保管で特に注意)
ウォレット(特にハードウェアウォレットや、秘密鍵を書き出した紙など)に関連する物理的なリスクです。
- 物理的な盗難・紛失・破損:
- 概要: ハードウェアウォレット本体や、リカバリーフレーズを書き出したメモなどが盗まれたり、紛失したり、火災や水害で破損したりするリスクです。
- 保管との関連: ハードウェアウォレットが盗まれても、PINコードなどがあればすぐに資産が盗まれるわけではありませんが、リカバリーフレーズが一緒に保管されていた場合は危険です。リカバリーフレーズを紛失した場合は、ウォレット自体が手元にあっても資産にアクセスできなくなります。
- 対策:
- ハードウェアウォレット本体やリカバリーフレーズの保管場所は、自宅内でも鍵のかかる場所や耐火・防水の保管庫など、複数の安全な場所を選びましょう。
- リカバリーフレーズは、ハードウェアウォレット本体とは別の場所に保管することが鉄則です。
- 家族にも保管場所を共有しておくか、信頼できる専門家に預けるなども検討できます。(ただし、誰かに預けること自体のリスクも考慮が必要です)
- 定期的に保管場所を確認し、状態をチェックしましょう。
保管方法とリスクの関係性を理解する
これまで見てきたように、それぞれの保管方法には異なるリスクプロファイルがあります。
- 取引所保管: ご自身のPCやスマホのセキュリティが高くても、取引所側のセキュリティや経営状況に依存するリスクがあります。サイバー攻撃や破綻のリスクに晒される可能性があります。
- ウォレット保管: ご自身のPCやスマホのセキュリティ、そしてご自身の管理能力に依存するリスクがあります。秘密鍵の管理ミス、マルウェア感染、物理的な紛失・盗難といったリスクを自己責任で対策する必要があります。
どちらの方法にもメリット・デメリット、そしてリスクがあります。ご自身の保有量、利用頻度、そしてご自身のセキュリティ対策への習熟度に合わせて、リスクを分散するために両方の方法を組み合わせることも有効な戦略となります。
全体を通じたセキュリティの心がけ
どの保管方法を選択するにしても、常に心がけておくべきセキュリティ対策があります。
- パスワードの強化と管理: 複雑で推測されにくいパスワードを使用し、使い回しは絶対に避けましょう。パスワードマネージャーの利用も有効です。
- 二段階認証の徹底: 対応しているサービスでは必ず設定しましょう。認証アプリの利用を強く推奨します。
- ソフトウェア・OSのアップデート: 常に最新の状態に保ち、セキュリティの脆弱性をなくしましょう。
- 不審なリンクや添付ファイルを開かない: 疑わしいものはクリックしたりダウンロードしたりしない習慣をつけましょう。
- 公共Wi-Fiの利用を避ける: 仮想通貨関連の操作は、自宅の安全なネットワークで行いましょう。
- 仮想通貨に関する情報をネット上に公開しすぎない: 保有量や利用しているサービスなどを安易に公開すると、ターゲットにされる可能性があります。
- 常に最新の情報を収集する: 仮想通貨の世界は技術が進化し、新しい脅威も生まれます。信頼できる情報源から常に最新のセキュリティ情報を得るように努めましょう。
おわりに:知識は最大の防御です
仮想通貨の安全な保管は、単にどこかに置いておくだけでなく、どのようなリスクが存在し、それに対してどのような対策が可能かを理解することから始まります。この記事で解説したセキュリティ脅威は、仮想通貨の世界で遭遇する可能性のあるリスクの一部ですが、これらを知っておくだけでも、資産を守るための行動が変わってきます。
最初から完璧な対策を行うのは難しいかもしれませんが、まずは二段階認証の設定、リカバリーフレーズのオフライン保管、不審なものに注意するといった基本的なことから始めてみましょう。
セキュリティ対策は一度行えば終わりではありません。常に最新の情報に注意を払い、継続的に対策を見直していくことが大切です。ご自身の状況に合った保管方法と適切なセキュリティ対策を組み合わせることで、安心して仮想通貨を管理できるようになります。
この記事が、あなたの仮想通貨ライフにおける「安心」の一助となれば幸いです。